日時:平成25年11月21日(木) 午後3時~5時
場所:衆議院第一議員会館 第1会議室 (地下1階)
演題:からだとこころの健康のみなもと~呼吸、筋弛緩、姿勢など~
はるき ゆたか
講師 春木 豊 氏
文学博士 早稲田大学名誉教授
日本武術太極拳連盟 理事、 日本学生武術太極拳連盟 会長
内容
健康というと一般には医学とかスポーツを想定しますが、それらは勿論重要ですが、からだだけではなく、こころも含んで考えなければならないので、心理学では健康心理学、医学では心身医学という分野が生まれました。 また、健康に関して考えなければならないことは、病気の治療だけではなく、病気にならない予防の手立てが必要です。いわゆる中医学でいう未病を治すです。このためには生活習慣の変容が重要であると健康心理学では言っています。
好ましくない生活習慣(喫煙など)に陥る原因はいろいろありますが、よく言われるように、過剰なストレスが上げられます。
このストレス対処のための方法にはいろいろありますが、ここでは坐禅のキーワードである調身、調息、調心が基本だと考え、これらを取り上げたいと思います。
調身は筋弛緩した姿勢が基本です。姿勢を正すことはからだにとって、好ましいことですが、もっと重要なことは、こころを正す効果です。
調息は呼吸です。呼吸は生命の根源ですが、同時にこころを落ち着かせるとか気力の発揮などに効果があります。
調心は上記の二つが整えば、自ずから成り立つといえますが、思いにとらわれずに今に集中することが、心身の均衡を保つのに重要だといわれています。
上記の事項について、若干の理論を述べ、簡単な実践をしたいと思います。
講師自己紹介
1933年 東京で生まれる。
幼少期は小田原で過ごしたが、高等学校から東京に転居、大学は早稲田大学で学部から大学院まで過ごし、縁あって早稲田大学に奉職し、教授、2003年に定年退職。 2011年に瑞宝中授章を拝受。
この間、心理学の基礎研究に従事し、一方で禅思想と坐禅に関心を持ち続けた。これに関しては早稲田大学に設けられた井深大基金のマネージメントを任されることになり、2年毎に7回ほど世界各国で「瞑想」に関する会議を主催。
また、坐禅における身体の重視に興味があり、からだからこころへというパラダイムを心理学に持ち込み、身体心理学の分野を開拓。これには今でも思索を続けているが、得られた結論は、無意志的(反射)であると同時に意志的にも出来る反応群(呼吸、筋反応、など)の修練がからだとこころのウエルビーイングにとって根源であるということ。