日時:平成25年10月17日(木) 午後3時~5時
場所:衆議院第一議員会館 大議室 (地下1階)
演題 :抹殺された神より観る、作られた日本近代神話
おの ぶんこう
講師 小野 文珖 氏
僧侶、 日蓮宗天龍寺院首
元 立正大学 助教授 (近代仏教史)
NPO法人 T・M良薬センター 理事長
内容
今回、富士山が世界文化遺産に登録されたが、その構成要素は「富士山信仰」が中心であった。
ところが、今日の「富士山信仰」は、明治維新の神仏分離・廃仏毀釈運動で、千年以上に及ぶ神仏習合の実相が破壊されたまま、復権されずに今日に至っている。
近代の国家神道体制確立の裏で抹消された、富士浅間祭神「赫夜姫(かぐやひめ)」の側から、
作られた王政復古の神話を考えてみたい。
また、「赫夜姫」がいなくなったことで、「徐福伝説」が宙に浮いてしまった。世阿弥の能、「富士山」は、中国からの使者にかぐや姫が本体を現し、天女の舞いを舞って薬を渡す筋書きである。日中友好の絆として、日本全国で「徐福伝説」は語りつがれてきた。かぐや姫を主人公とする「竹取物語」が中国のアバ・チベット族に伝わっていることも最近学会で発表されている。
神話の中から大陸との交流を探ることも当発表の目的の1つである。日本は大陸と共生してきた長い歴史を持っていることを証明したいのである。
講師自己紹介
1948年、群馬県生まれ。日蓮宗総本山身延山久遠寺で修行。出家得度。立正大学大学院仏教学専攻博士課程修了。群馬県天龍寺住職。立正大学教養部助教授。2009年公職をすべて辞し、栗須祖師堂の堂守となる。現在、アジア諸国の生活向上、東北被災地支援活動のボランティア団体NPO法人「T・M良薬センター」の代表。
著書、『日蓮にきく』・『法華経にきく』・『昭和法華人列伝』・『平成みのぶ道の記』他。