第150回 平成25年3月21日 
井上 ウィマラ 氏

日時:平成25年3月21日(木) 午後3時~5時
場所:衆議院第一議員会館 第一会議室 (地下1階)  
演題:マインドフルネスとケアの循環する社会
井上 ウィマラ 氏
いのうえ ういまら
講師  井上 ウィマラ 氏
http://www.koyasan-u.ac.jp/
高野山大学 准教授


内容

マインドフルネス瞑想は仏教の基本的瞑想法であり、J.カバットジンが1979年にマサチューセッツ大学医学部で創始したMindfulness Based Stress Reduction program (MBSR)よって医療のメインストリームに取り入れられるようになった。現在ではうつ病の再発予防のための認知療法をはじめとして、
リーダーシップ養成から矯正機関でのメンタル・トレーニング、子育てから看取りに至るあらゆる分野に応用可能な心の向け方として注目を集めている。
人生の危機に遭遇した人々に共感的に寄り添い、共にいのちの光を輝かせられるような変容
(生まれ変わり)の道筋を見つけ出すための支援活動であるスピリチュアルケアの現場から見えてくるものは、チャイルド・ケア(子育て)、ターミナル・ケア(看取り)、グリーフ・ケア(悲嘆のケア)というケアの循環する新しいコミュニティを社会に再構築してゆくことの重要性である。
本講演では、ポスト3.11の視点を踏まえて、マインドフルネスという心の向け方が現代社会においてケアの循環を生み出す可能性を吟味してみたい。


講師自己紹介

昭和34(1959)年山梨県生まれ。
京都大学文学部哲学科宗教哲学専攻中退。曹洞宗で出家して道元の只管打坐と正法眼蔵などを学び、ビルマのテーラワーダ仏教で出家してヴィパッサナー瞑想、パーリ経典とその解釈学、アビダンマ仏教心理学などを学ぶ。カナダ、イギリス、アメリカで瞑想指導をしながら心理療法を学び、バリー仏教研究所客員研究僧を最後に還俗。マサチューセッツ大学医学部でマインドフルネス瞑想に基づいたストレス低減法のインターンシップを特待生として受講して帰国。
現在は高野山大学で仏教瞑想と心理療法に基づいたスピリチュアルケアの基礎理論と援助論の開発に取り組んでいる。 東日本大震災の発災直後から複雑性悲嘆やPTSDの研究者たちとJapan Disaster Grief Support Project(JDGSプロジェクト)を立ち上げて、心のケアに関する情報提供を中心とした復興支援にも携わっている。
著書:『人生で大切な5つの仕事』、『呼吸による気づきの教え』、『看護と生老病死』など。
訳書:『呼吸による気づきの教え』、『ブッダのサイコセラピー』など。共著:『スピリチュアルケアへのガイド』、『瞑想脳を拓く』など。 編著:『仏教心理学キーワード事典』。