第133回 平成23年9月22日 
鎌仲 ひとみ 氏

日時:平成23年9月22日(第4木) 午後3時~5時
場所:衆議院第一議員会館 大会議室 (地下1階)
演題:像で見る‐核燃料サイクルはいかに破綻しているか
鎌仲 ひとみ 氏
かまなか ひとみ
講師  鎌仲 ひとみ 氏
http://888earth.net/
映画監督、  国際基督教大学・多摩美術大学 講師
日本・イラク医療支援ネットワーク 理事


内容

1:放射性物質がめぐる社会
日本のエネルギー政策の根幹である「核燃料サイクル計画」の概要。その全ての過程で出てくる放射性廃棄物と放射能汚染。
2:再処理工場の問題点
六ヶ所再処理工場の現状。2兆5千億円かけて建設した再処理工場は本格稼動寸前で止まったままになっている。高レベル核廃棄物のガラス固化体溶融炉が失敗したからだ。高レベル核廃液タンクが詰まり、大量の放射性物質を漏らし、建屋全体を汚染してしまった。再処理事態ができない状態。なぜこのような事態になったのか。
3:広がる放射能汚染
経済産業省、青森県、日本原燃は口をそろえて再処理工場が稼動しても決して放射能汚染は出ないと言い続けてきた。しかし、本格稼動の前に最終試験を3年やった結果、汚染が広がってしまった。
4:最終処分場をどうするのか
原発を持っている国々の中で最終処分技術を確立しているのはスウェーデンのみ。その方式でフィンランドはすでに最終処分にとりかかっているが、日本ではこの方式は不可能である。では、最終処分はどうするのか?
5:プルサーマルの欺瞞
本来、「核燃料サイクル計画」は高速増殖炉がなければ完結しない。ところが実験炉「もんじゅ」は13年前に事故をおこしたまま開発が進んでいない。溜まってしまったプルトニウムを処理するために始めたプルサーマル計画は最悪の対症療法。福島第一原発三号炉で使うことによって事故の被害を拡大させてもいる。
6:膨大なつけ
54基の原発、そこから出てくる使用済み核燃料、六ヶ所再処理工場の後始末にどれだけの予算が必要なのか。すでに19兆円を国民の電気代にほとんど説明もせずに上乗せしているが、これは50兆円にまで膨らむ可能性がある。そもそも後始末が可能なのか。


講師自己紹介

早稲田大学卒業と同時にドキュメンタリー制作の現場へ。

90年最初の作品「スエチャおじさん」を監督、同年文化庁の助成を受けてカナダ国立映画制作所へ。93年からNYのペーパータイガーに参加してメディア・アクティビスト活動。95年帰国以来、フリーの映像作家としてテレビ、映画の監督をつとめる。主にNHKで「エンデの遺言―根源からお金を問う」など番組を多数監督。2003年ドキュメンタリー映画「ヒバクシャ 世界の終わりに」を監督。国内外で受賞多数、全国400ヶ所で上映。2006年「六ヶ所村ラプソディー」は国内外650ヶ所で上映。観て終わりにしない上映活動を展開している。2010年4月、待望の最新作「ミツバチの羽音と地球の回転」を2010年6月に完成!すでに350ヶ所で上映。
国際基督教大学、多摩美などで非常勤講師もつとめる。

著作「ドキュメンタリーの力」「内部被爆の脅威―原爆から劣化ウラン弾まで」「ヒバクシャ ドキュメンタリーの現場から」「六ヶ所村ラプソディー ドキュメンタリー現在進行形」「今こそエネルギーシフト」など。