日時:平成23年5月19日(木) 午後3時~5時
場所:衆議院第一議員会館 大会議室(地下1階)
演題:脳からストレスを消す生活:セロトニン活性
ありた ひでほ
講師 有田 秀穂 氏 医師、医学博士
http://www.serotonin-dojo.jp
東邦大学医学部 統合生理学 教授、 セロトニン道場 代表、
国際生命情報科学会(ISLIS) 理事
内容
自殺者が年間三万人を越えて13年になります。自殺の背景には抑うつがあります。現代の医学ではうつ病の原因としてセロトニン神経の機能低下が明らかになっています。1980年代から脳内セロトニン濃度を改善させる薬(SSRI)がうつ病治療に汎用されるようになったからです。私はセロトニン神経の研究を長年行って参りました。セロトニン神経は大脳の覚醒レベルの調節、気分、自律神経、痛覚調節などに働きます。朝起きて、セロトニン神経がきちんと活性化されないと、頭が目覚めず、意欲や集中力も上がらず、低血圧や低体温などの自律神経失調症状が現れ、不定愁訴的な痛みが発生します。これらの症状は、うつ病や慢性疲労症候群の患者の症状と重複します。セロトニン神経を活性化させるには、三つの要因があります。リズム運動、太陽の光、グルーミングです。私たちの研究では、リズム運動としてウオーキング、ランニング、自転車漕ぎなどの歩行リズム運動、坐禅、ヨガ、太極拳などの呼吸リズム運動、ガム噛みなどの咀嚼リズム運動が有効であることを証明し、国際誌に発表してきました。また、グルーミングとしては、タッピングタッチ(肩叩きのような行動)や体感振動のサウンドヒーリングが効果的であることを明らかにしています。これらの研究成果を基にして、私はセロトニン道場を御徒町駅前に開設し、セロトニン活性の技法をその道の専門家といっしょに教えています。受講者はうつ病で休職し、社会復帰プログラムを開始した人々です。薬ではなく、セルフケアとしてセロトニン活性の生活習慣を身につけることを目的にしています。同時に、セロトニントレーナーの養成も行っています。活動の現状と、研究成果をお話します。
講師自己紹介
1948年東京都生まれ。
東京大学医学部卒業後、東海大学病院で臨床に、筑波大学基礎医学系で脳神経科学の基礎研究に従事、その間、ニューヨーク州立大学に留学、現在、東邦大学医学部統合生理学教授。坐禅の呼吸法とセロトニン神経の関係で、各界から注目を集める「セロトニン研究」の第一人者。
脳内セロトニンを活性化させる技法を教えるセロトニン道場の代表も勤める。
<著書> 『脳からストレスを消す技術』 サンマーク出版
『セロトニン欠乏脳』 NHK出版生活人新書
『ストレスすっきり脳活習慣』 徳間書店
『「セロトニン脳」健康法』 講談社+α新書 共著
『歩けば脳が活性化する』 WAC文庫
『認知症介護はセロトニンで楽になる』 青春出版社
『呼吸を変えれば「うつ」はよくなる!』 PHP
『切替脳の活かし方』 ビジネス社
『仏教と脳科学』 サンガ 共著
『禅と脳』 大和書房 共著 など